2007/06/21

庶民派ヒラリーとSopranos

いくらメディアで絶賛されても、こればっかりは理解できない。ヒラリーの新しいウェブ広告の話である。

テーマは、このページでも過去に取り上げた、キャンペーン・ソング選びに関する結果発表。それをクリントン夫婦の出演で、先頃放送された人気テレビ・シリーズSopranosの最終回に真似た映像に仕立てている。これがなかなかの出来だという評判なのである。



と、いわれても、日本では肝心の最終回が放送されていないのだから仕方がない。散々米国では話題になっていたから、どんな幕切れだったかは知っている。しかし、いかんせん映像を知らないので、正直言って「演技はイマイチだなあ」というくらいの感想が精一杯である。

何はともあれ、「ヒラリーの庶民的な側面をアピールする」という狙いからは、庶民に人気のテレビ・シリーズを使うのは、なかなか利口な戦略だとはいえるのだろう。

実はヒラリーは、比較的学歴が低い人達からの支持が強い。この点は、支持者に高学歴者が多いオバマとは対照的である。

New RepublicのNoam Scheiberは、こうした支持層の色分けを、面白い視点から解説している(Scheiber, Noam, "Paying Dues", The New Republic, June 20, 2007)。Scheiberに言わせれば、低学歴層がヒラリーを好むのは、彼女が経験を積んでいるからである。それも、大統領という仕事をこなすには経験が必要だと考えているからではない。低学歴者は年功序列を尊重しているからだというのである。

低学歴者が成り上がるには、年功序列に頼るしかない。ちょっと能力があるからといって、オバマのような若輩者が、いきなり割り込んでくるのは許せない。その点ヒラリーは、きちんとステップを踏んできたから、大統領になる資格がある。裏返していえば、高学歴者がオバマを好むのは、「実力があるのに年長者に譲らなければならないなんて許せない」という価値観の現れなのである。

ヒラリーが選んだキャンペーン・ソングは、セリーヌ・ディオン(from カナダ)のYou & Iだった。当初のリストにはなかったが、投票者の推薦で二次候補に残った曲だという。

しかし、一般庶民の候補だというのなら、もっと違った路線もあったように思うのだがどうだろう。この際、ウェブ広告のバックに流れていた、Don't Stop Believin'でも良かったのに…

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