2007/06/18

for the mini record : 中国と大統領選挙

記録のために、「中国」というだけで脈絡のない二つの話題を取り上げておきたい。

一つ目は、出馬宣言も秒読みというフレッド・トンプソン前上院議員の外交スタッフに関する話題である。トンプソン前議員のスタッフに関しては、以前ブッシュ・チェイニー人脈が集まっているという話をとりあげた。この時には触れられなかったが、外交政策のスタッフも人選が進んでいるようである(Hayes, F. stephen, "Hawks for Thompson", Weekly Standard, June 12, 2007)。

具体的に名前が挙がっているのは、フリスト前上院院内総務のスタッフだったMark Esper、2000年のブッシュ選対に参加していたJoel Shin、そして、チェイニー副大統領の長女にして、ブッシュ政権では国務省に在籍していたElizabeth Cheneyである。いずれもワシントンではタカ派としてしられている人材らしい。

この中でオヤッと思ったのが、Mark Esperである。90年代にはトンプソンのスタッフだった同氏(ちなみにフリストはトンプソンと同じテネシー州の出身)は、議会のU.S.-China Economic and Security Review Commission(USCC)のメンバーなのである。そして、実はトンプソン自身も、2005~06年までUSCCのメンバーを務めたことがある。

USCCといえば、労働組合の代表者が参加していたりしていたりして、中国に厳しい見方をする委員会として、その名は日本にまで鳴り響いている。同委員会でのトンプソン議員の活動はそれほど知られていないが、ホームページで見る限りは、核兵器の北朝鮮への拡散問題に興味があったように見受けられる。一体この委員会への参加は、同議員にどんな影響を与えたのだろうか?

もう一つの話題は、オバマ上院議員のスタッフに関する話題である。

オバマ議員の経済担当スタッフには、「民主党の常識に縛られない」という評価がある。もっと簡単に言えば、「リベラルの考え方にこだわらない」という意味である。その典型とでもいうべき発言が、中国との通商政策に関する、Austan Goolsbeeのコメントである(Vorobyova, Toni, "Stronger yuan won't fix US deficit -Obama advisor", Reuters News, May 18, 2007)。

Goolsbeeの発言の趣旨は、「人民元が大幅に切り上がったとしても、米国の対中貿易赤字は他の国との赤字に置き換わるだけだ」というものである。さらに同氏は、「すべてのアジア通貨との関係が調整されればインパクトはあるだろうが、それは政府ではなくて市場によって行われることになる。その場合には、インフレや金利の上昇など、あまり楽しくない状況になるだろう」とも指摘している。さらに同氏は、「賃金格差の最大の要因は(通商ではなく)技術革新である」とも述べている。

こうした見解は、エコノミストの視点からすれば、いずれも極めて真っ当な見方である。しかし、予備選挙に臨む民主党の候補者陣営としては、「勇気ある発言」ではないだろうか。

さらに、Goolsbeeの意見で面白いのは、自由貿易協定(FTA)に対する批判的な意見である。同氏は、FTAが自由貿易のコンセプトを粗悪にしてしまい、政治家がドーハ・ラウンドのような大きな改革を追及する意志と体力を奪われてしまったと指摘する。

これなども、FTA全盛の現在においては、真に「勇気のある発言」ではないだろうか。

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