2007/06/28

China Meets Campaigns

中国が2008年の大統領選挙に関心を寄せている。それ自体は不思議でも何でもないが、実際の動きが伝えられると、それなりに驚かされてしまう。

Washington Postによれば、先にワシントンで行われた米中戦略対話の際に訪米した中国の高官が、有力候補者のアドバイザーと会合を持ったらしい(Abramowitz, Michael, "Meeting With U.S. Campaign Aides Shows China's Interest in the Race", Washington Post, June 28, 2007)。会合は中国側の意向でセットされたようで、一足先に中国側の意見を伝えて、中国批判を封じようという狙いがあったのではないかと指摘されている。

WashingtonPostによれば、会合への参加者は次の通りである。

former CIA general counsel Jeffrey H. Smith (Clinton)
former Navy secretary Richard J. Danzig (Obama)
former State Department official Derek Chollet (Edwards)
former State Department policy planning chief Mitchell B. Reiss(Romney)
McCain's national security adviser Randy Scheunemann
staff director of the Senate Foreign Relations Committee Antony J. Blinken (Biden)

招待されたが参加しなかったジュリアーニ陣営を除けば、有力陣営の揃い踏みである。

中国が08年選挙に関心を持つのは自然な成り行きである。ワシントンの中国に関する関心は、為替や貿易不均衡、知的財産権といった昔ながらの論点から、さらに広がりを見せている。例えば人権では、ダルフールの虐殺に関係した、北京オリンピックの辞退問題が騒がしい。貿易関連では、中国から輸出されたペットフードや玩具、歯磨き粉などに有害物質が含まれていたために、中国産品の安全性に対する懸念が高まっている。つい先日も、中国から輸出されたタイヤにリコールが命じられたばかりである。どうやら、輸入業者が知らない内に、現地の工場がタイヤの耐久性を確保するための素材を使わなくなっていたらしい。

経済の世界で話題を呼んでいるのは、外貨準備の積極運用である。中国によるブラックストーンへの出資は、直接的な企業買収よりは批判を浴びにくいかと思ったが、民主党のウェブ上院議員などは、早速安全保障上の懸念を表明している。ブラックストーンが保有する企業には、機微な業種も含まれているというわけだ。そのほかにも、「80年代の産業政策論争では、市場重視論者は米国政府が自国企業に出資するのはけしからん(「勝者を選んではいけない」)と主張したが、中国政府が米国企業に出資するのは良いのか?超プロ資本主義のWall Street Journalの論説室は、中国に買われそうになったらどう反応するのか?」なんていう議論もある(Meyerson, Harold, "Globalization's Stir-Fry", Washington Post, June 28, 2007)。

もっとも、中国だけでなく、産油国などを含めた政府による外貨の運用自体が、各国政府の関心を集めているという事情もある。いわゆる国富ファンド(Sovereign Wealth Funds:SWF)については、6月21日に財務省のロウリー次官代理が、米国は海外からの投資を明確に支持するとしながらも、透明性の欠如や規制の及び難さといった点で金融システムの不安定化につながりかねない、その大きさや投資方針などが金融面での保護主義を誘発しかねない、腐敗や官僚主義に陥る可能性がある、といったリスク要因を指摘している。

そういえば、中国高官とアドバイザーの会合をセットしたのは、CSISのハムレ所長だという。CSISはPIIEと組んで、China Balance Sheetというプロジェクトを展開している。PIIEの後見人は、ブラックストーンのピーター・ピーターソンである。

いや、だから何だというわけではないですよ。

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