2007/03/01

どこで発表するか、それが問題だ

どんな選択にも意味がある、ように見えるのが大統領選挙の面白さだ。

マッケインが大統領選挙に出馬する意向を表明した。正式な表明は4月の予定だという。

「まだしてなかったの??」という疑問はさておき(そもそも彼の場合、手続き的には、調査委員会設置の時に出馬手続きも済ませている)、本日のテーマは発表を行なった「場所」である。

マッケインが選んだのは、有名な夜のコメディー・トークショー(でいいんですかね)、Late Show with David Lettermanだった。まあ、「笑っていいとも」で大統領選挙への出馬を宣言したと思ってください。

今回の選挙の場合、テレビを発表の場に選ぶ候補者は少なくない。調査委員会設置の際は、マッケインとハッカビーがNBCのMeet the Press with Tim Russertを選んだし、リチャードソンはABCのThis Week with George Stephanopoulosだった。変わり種では、バイデンがCommedy CentralのThe Daily Show With Jon Stewartで出馬を表明する筈だったが、同じ日に例の「オバマは“the first mainstream African-American who is articulate and bright and clean and a nice-looking guy”だ」発言をやらかし、台無しにしてしまった。

但し、マッケインの場合、Late Showを選んだところに、彼の選挙戦が置かれた厳しい状況が反映されているという見方がある。こうした番組を利用して、キャンペーンに魅力を取り戻そうという思惑があるというのだ(Balz, Dan, "McCain Says He'll Seek Presidency, Plans to Make It Official in April", Washington Post, March 1, 2007)。

マッケインはちょっとしたスランプにある。2000年の大統領選挙でマッケインは、本流に立ち向かう一匹狼として人気を集めた。ところが今回は一転して、共和党本流の指示を固める王道の戦いを目指している。そうでなければ、予備選挙に勝てないという判断だろう。ところがこの選択が、足元では裏目に出た。不人気なイラク増派にこだわっているのも手伝って、前回の選挙で彼を支持した無党派層に幻滅されているようなのだ。Late Showでの出馬宣言は、2000年選挙の時のような、「自然発生的で予測不可能な魅力」を取り戻そうという試みなのである。

マッケインの場合、肝心の共和党本流に未だに2000年のことを恨まれているようなのが辛いところだが、この辺りは稿を改めるとして、「場所」の話を続けたい。

テレビ以外の場所を選ぶ候補者も当然いる。Washington PostのDavid S. Broderは、その中でもロムニーとエドワーズに注目する。どちらも政治家としてキャリアを積んだのとは違う場所を選択したからだ("Where Candidates Start", February 15, 2007)。

ロムニーはマサチューセッツ州の知事、エドワーズはノースカロライナ選出の上院議員だった。ところが、ロムニーはミシガン、エドワーズはニューオリンズを選んだ。もちろんそこには計算がある。ロムニーにすれば、ミシガンは父親が知事を務めたところで、予備選挙での重点州だ。一方のエドワーズは貧困を選挙の重要なテーマにしており、ハリケーン・カトリーナの被災地は打って付けの場所だった。

二人には「地元」を避けたかった理由もあるとBroderは指摘する。保守派の支持が必要なロムニーにとって、リベラルな政治運営をせざるを得なかったマサチューセッツ時代は、あまりプレイ・アップしたい実績ではない。エドワーズにしても、上院議員を辞めて大統領選挙に立候補したけれど、結局浪人の身になってしまった、なんてことは忘れてもらった方がありがたい。

もっとも、これだけ計算しても「吉」とでるとは限らない。直近2人の大統領(ブッシュ、クリントン)は、いずれも自分の地元で立候補を表明している。

では今回の地元派はというと、何とオバマがいる(イリノイ)。これは、と思うところだが、実はもう一人の地元派がアイオワのビルサック。こちらは早々に予備選挙から撤退してしまった。

そういえば、ヒラリーの出馬宣言はインターネットのホームページだった。やはりインターネットが似合うのは、発明者のこの人だと思うのだが...

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