2007/03/10

幸せなら手をたたこう

ぜひ写真を大きくしてみてください。

共和党はなぜこんなにハッピーなのか。「ネオコンの重鎮」William Kristolが、Time誌にその秘密を嬉しそうに明かしている("Why Republicans Are Smiling", March 02, 2007)。

1.「増派」。共和党支持者にとって最悪だったのは、ブッシュがラムスフェルド等の間違った助言から抜けだそうとしなかったこと。今や新しい兵力と新しい指揮官に支えられた新しい戦略が実行に移されようとしている。共和党支持者の多くは「まだ勝てる」と信じており、増派に希望を与えられた。

2.議会。中間選挙で負けたのは悪いニュースだったが、民主党が議会を仕切らなければならなくなったのはグッドニュース。イラク戦争に関して、草の根反戦派の圧力を受けながら、米軍に害を与えるように見えない対案を捻り出すのは至難の技である。民主党を苦しめるマコネル上院院内総務の手腕には久々に溜飲が下がる思いだ。

3.民主党の大統領候補。ヒラリーは脆弱だし、オバマが大統領になるなど想像できない。エドワーズは2回目でも駄目そうだし、ゴアは政治家としてなっていない。中道派や共和党支持者からも票が取れそうな候補は、脱落したか(ワーナー、ビルサック、バイ)、伸び悩み(リチャードソン)。ヒラリーが一番の中道とは笑いが止まらない。

4.共和党の大統領候補。「都会派共和党(Metro Republican)」とでもいうべき3大候補(ジュリアーニ、マッケイン、ロムニー)は、伝統的な田舎の保守には見えないかも知れないが、根本的な考え方は保守。むしろ中道派にも支持を広げられる。

5.アイディア。税制や医療など、共和党には米国民の経済的な不安感に答えたり、中道に支持を広げられる斬新なアイディアがたくさんある。外交でも、「米国の強さ」を象徴するのはやはり共和党だ。

若干無理があるとは思うが、保守系雑誌の購読状況は好調であり、保守系サイトへのアクセスも増加しているという。世論調査では、ブッシュが共和党支持者の支持を減らしているという結果が出ているが、そんなことは関係ないらしい。2月末にNew York Tims/CBSが行った世論調査では、共和党支持者の大統領支持率は、昨年10月(78%)対比で13ポイント(65%)低下しているという(Connelly, Marjorie, "Poll Shows Bush Is Losing Support of Republicans", New York Times, March 2, 2007)。

まあ、保守派の集まりであるCPACでは、参加者が次々と強烈な現状への不満を楽しそうに爆発させていたというのだから世話はない。かえって「レーガンのように『ハッピーな戦士』になろう」という前向きな発言は、受けが悪かったそうだ(Wolffe, Richard, "I'm Mad as Hell and I'm Not Going to Take It Anymore, and I'm Totally Diggin It", Newsweek, March 1, 2007)。

やれやれ。

先々を考えれば、検証する必要があるのは5のアイディアの部分だろう。引用されているSam's Club Repbulicanは、元々2005年11月に出た議論(Douthat, Ross and Reihan Salam, "The Party of Sam's Club", Weekly Standard, November 14, 2005)で、かねてから気になっていた。Putting Pearents Firstというのも要チェックだろう。

ネオコンご推奨だけに、従来の「小さな政府」とは一味違うだろうし、どこまで共和党のメインストリームの考え方なのかはよくわからない。しかし、今の共和党の有力候補者は、いずれも従来の保守派とは少し違う。だから「ネオコンの重鎮」は満足しているのかもしれない。

米国における「政府観」の振り子は、「小さな政府」から離れようとしているのだろうか。

0 件のコメント: