2007/04/28

エドワーズ、散髪、ヘッジ・ファンド

約束していた割に、エドワーズの「二つのアメリカ」演説の脆弱性に触れるのが遅くなってしまった。26日の討論会で、2つの象徴的なやり取りがあったので、取り上げておきたい。

結論から先にいうと、「二つのアメリカ」演説の脆弱性は、「あなたはどちらのアメリカに属しているのか」という問い掛けを誘発する点にある。

その典型が、今回取り上げたい一つ目の質問である。それは、「散髪に400ドルかけたことをどう思いますか?」というモデレーターの問いだ。

第1四半期の政治献金報告のなかで、エドワーズは有名なスタイリストの出張散髪を2回利用していたことが明らかになっている。その1回のお値段が、400ドルだった。

エドワーズは成功した弁護士である。「持つ者」「持たざる者」の二つの世界があるとすれば、エドワーズが属するのは、間違いなく前者のアメリカだ。「二つのアメリカ」演説が綺麗であるほどに、「400ドルの散髪」だとか、豪邸を保有していて隣人と揉めているとか、その手の攻撃は受けやすくなる。

もちろん、「持つ者」が「持たざる者」を擁護して悪い訳ではない。そもそも欧米には、ノブレス・オブリージュの伝統がある。

エドワーズも、こうした問い掛けには答を用意している。今の自分は確かに持つ者だ。しかし、元はといえば工場労働者の息子であり、そのルーツを忘れてはいない。むしろ、自分のように成功するチャンスを、多くの人に与えたい。

美しい。

エドワーズは、今回の選挙戦では、ポピュリスト的な主張を強めている。それだけに、こうしたストーリーを上手く伝えることが重要だ。

討論会で目を引かれたのは、変化球ともいえる、もう一つの質問だ。それは、「ヘッジ・ファンドをどう思うか?」という問い掛けである。

ヘッジ・ファンドといえば、「持たざる者」にとっては、別世界の存在。ところがエドワーズは、前回の選挙で落選した後に、ヘッジ・ファンドで有名な、Fortress Invest Groupのアドバイザーに就任している。第1四半期の政治献金でも、同社関連の献金が17万ドルあるという。

この質問が気になったのは、民主党の経済政策に関する路線論争に、微妙に関わって来るからだ。

ルービノミクス批判の一つの典型は、「ウォール街の代弁者」というものだ。ところが、有力候補者のなかでは、もっともルービノミクスから遠いと目されているエドワーズですら、ヘッジ・ファンドと関係がある。

ことほど左様に、ルービノミクス論争は、奥が深いのである。

*日本は全国的にGWに入りました。残念ながら仕事があったりもするのですが、このページは、出来るだけ更新するつもりです。ただし、今回のように携帯から直にアップした場合、本文中のリンクやラベルは後から付け加えるので、RSSなどでは掲載順が乱れるかもしれません。ご容赦下さい。

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