2007/04/14

ある上院議員の待たれる帰還

僅かな票差の多数党だからこそ、1議席といえどもおろそかにできない。民主党の本音だろう。

4月11日に、民主党のジョンソン上院議員のスタッフが、オフィスの改修作業を行なうと発表した(Kane, Paul, "Johnson Aides Remodeling Office for His Return", Washington Post, April11, 2007)。ジョンソン議員は、1月に脳内出血で倒れて以来、議会に顔を出していない。今回の改修では、同議員の復帰に備えて、車椅子が通り易いように通路を拡張したりするという。同議員の復帰を予想させるかのような情報である。

現実的な採択の局面では、ジョンソン議員が復帰したとしても、民主党指導部がどの程度楽になるかは微妙である。確かに党派の主張が分かれる投票では1票は重い。しかし、たとえ1票増えても、民主党はフィリバスターを止める60票には届かない。

また、ジョンソン議員は、それほど忠実な民主党議員という訳ではない。Party Unity Score(どれだけ党派の意見がわかれる投票で民主党議員と同じ行動を取ったかを示す指標)では、ジョンソン議員のスコア(83%)は、民主党議員のなかで9番目に低い。ジョンソン議員は、どちらかといえば中道で行動する。こうした議員の復帰は、キャスティング・ボートとしての中道派の存在感を高め、党派対立をブリッジする力学につながるかもしれない。

もっとも、明日にもジョンソン議員が復帰する目処がたったという訳ではない。同議員は、現在入院しながらリハビリを行なっており、先ずは外来でのリハビリに進むのが課題。オフィスの改修にも数ヶ月はかかるという。また、復帰できたとしても、どこまで能動的に動けるかは未知数だ。

それよりも、民主党にとっては、多数党を支える1票としてのジョンソン議員が大切である。民主党にとってジョンソン議員の1議席は貴重だ。49(+2)―49。これが上院の議席配分である。民主党は49の議席に、無所属の2議員(リーバーマン、サンダース)を加えて、ようやく過半数の51議席である。民主党が1議席でも失えば、上院の多数党は交代する。

だからこそ、選挙運動が出来ない同議員に代わって、同僚議員が選挙資金集めを進めている。上院議員の任期は6年だが、ジョンソン議員は来年が改選の年にあたる。

資金集めの先頭に立つのは、地理的にもサウス・ダコタ州選出のジョンソン議員に近い、モンタナ州選出のボーカス上院議員。その他にも、リード院内総務やシューマー選対委員長、ケネディ上院議員といった、錚々たるメンバーが協力している(Blue, Miranda, "Johnson's Political Future Stirs Speulation - and Fundraising", CQ Today, April 10, 2007)。

ジョンソン議員の前回の選挙は524票差の辛勝。民主党には、必死でジョンソン議員を支えなければならない理由がある。

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