2007/07/14

女性が共和党を支持する理由:Who Wants to Break Free ?

民主党が大統領選挙に勝つためには、女性票で共和党に差をつける必要がある。しかし、女性の解放を訴える民主党のメッセージは、肝心の女性には届いていない。そんな意見が、保守の陣営から聞かれる。その理由は、女性は男性よりも自由であると感じているからだ。

最近の大統領選挙で民主党の候補者が敗れ去った一つの理由は、女性票での差を十分に広げられなかった点にある。2004年の大統領選挙を例に取れば、女性の48%がブッシュ、51%がケリーに投票している。2000年の選挙と比較すると、ブッシュの得票率は5ポイントも上昇しているのが現実である。

女性の共和党支持が強まっている理由は、安全への懸念だといわれることが多い。生活に関わる問題では、女性は民主党に親近感がある。しかし、9‐11後の米国では、何よりも気にかかるのは家族の安全である。だからこそ女性は共和党に投票する。そんなロジックが、セキュリティ・マムなる怪しげな言葉が生まれた背景にあるし、民主党も軍事に強くならなければならないという議論のバックボーンの一つにもなった。

しかし、AEIのArthur C. Brooksの見方は違う(Brooks, Arthur C., "The Political Gender Gap", Wall Street Journal, July 12, 2007)。民主党の問題は、女性の自由に関するメッセージだというのである。民主党の女性に対するメッセージは、共和党の下では女性の自由が抑圧されているというものだ。職場での賃金・昇進などにおける評価の不当さや、出産の自由(中絶の問題)が好例だし、極端なところでは、米国の社会システム自体が女性を疎外する仕組みになっているという議論になる。

しかし、世論調査を見る限り、米国の女性は取り立てて抑圧されているという意識が強いわけではない。むしろ、家族構成や所得が同じ場合で比較すると、個人的に自由であると感じている割合は、女性の方が男性よりも10ポイントも高いという。しかも、伝統的なしがらみが少ない女性ほど自由を感じているかと思いきや、この点についても、必ずしも強力な証拠は見当たらない。確かに、子どものいる女性は、子どものいない女性よりも自由を感じる度合いが僅かに低い。しかし、結婚している女性は、未婚の女性よりも、自由を感じる度合いが10ポイントも高い。こうした女性が自由を感じているという現実が、民主党が女性票を延ばせない一因だというのがBrooksの指摘である。

なぜ女性は自由を感じているのか。伝統的なリベラルの議論は、「女性は騙されている」というものだ。これは、経済的に貧しい白人が、何故か富裕層に優しい共和党を支持している理由としても、上げられやすい議論である。同時に、こうしたリベラル層の有権者を見下ろしたようなエリート臭い考え方が、民主党とメイン・ストリートとの距離を広げてしまっているという批判もある。

他方で、Brooksのような保守派が指摘するのは、宗教などを通じた精神的な充実である。Brooksによれば、男性よりも女性の方が、日常的に宗教的な行為を行なう割合が高い。また、具体的に自由を感じた出来事としても、女性の場合には、精神的・宗教的な経験をあげる割合が、男性の約2倍に達しているという。

ところで、自由をもっとも感じていないのは、どうやら民主党を支持する男性のようだ。こうした層では、29%が大きな自由がないと感じている。共和党を支持する女性だと、その割合は17%だ。選挙に与えるインプリケーションもさることながら、こうした不満のエネルギーが、民主党の政策に与える影響も、気になるところである。

まあ、個人的に言わせて頂ければ、台風の近付く3連休の初日に仕事に向っているようでは、自由を感じるのも楽じゃないよね...と思っていたら、目的の駅につくと何故か海の香りがする。確かに海から遠くない駅ではあるけれど、今年の春から週に1度通い始めて以来、初めての経験である。少しトクをしたような気がするが、これもちょっとした「精神的経験」なのだろうか...

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