2007/07/27

Viva ! Election...Whatever it is...

あっという間に参院選の投票日が近づいてきた。延々と盛り上がり続ける米国の大統領選挙とは随分な違いである。本選挙まで1年以上あるうちから選挙活動が過熱しているのもさることながら、各党の候補者が決まるのも来年の夏以降になるかも知れないというのだから驚きだ(Ornstein, Norman, "An '08 free-for-all", Los Angels Times, July 26, 2007)。理由は予備選日程の前倒しにある。何やら逆説的だが、理屈は次のようになる。

予備選の投票は各州ごとに行われる。今回の大統領選挙の特徴は、各州が競って予備選の日程を早めていることだ。候補者が決まってから予備選をやったのでは、候補者にそっぽを向かれる。影響力を行使するには、少しでも早い方がいいという計算だ。

その結果出現したのが、Super Duper Tuesdayである。現時点のスケジュールによれば、アイオワなどの幾つかの州が予備選を終えた後に、カリフォルニアを筆頭とする多くの州が、2月5日に一斉に予備選を行なう。そこまでで、候補者を決める代議員の3分の2近くが決まってしまう計算だ。これまでも予備選が集中するSuper Tuesdayというのはあったが、今回はちょっと極端である。

こうしたスケジュールがどの候補者にプラスになるのかは、米国でも大きな議論になっているところ。その内の一つのシナリオが、予備選では候補者が決まらず、その決定が夏の党大会に持ち越されるというものである。あまりに沢山の州で一斉に予備選が行われるために、候補者の得票が分散し、指名に必要な代議員数を獲得する候補者が現れない可能性があるからだ。

代議員獲得の方法も、こうしたシナリオを後押しする。かつての予備選は、本選挙と同じように、過半数の票を獲得した候補者がその州の代議員を全て獲得する方式が少なくなかった。いわゆるウィナー・テイクス・オール方式だ。しかし、最近の予備選では、こうした方式を取る州が減っている。民主党の場合にはウィナー・テイクス・オール方式は廃止されており、得票に比例して代議員を配分する州が多い。共和党でも、州を幾つかの地域に分けて、それぞれについてウィナー・テイクス・オール方式を適用する州が少なくない。そして、当然のことながら、ウィナー・テイクス・オール方式の退潮は、候補者間の差が開きにくくなることを意味する。

候補者指名が党大会に持ち越されたらどうなるのか。党大会では、決戦投票の回数が増えるに連れて、代議員が自由に投票出来る州が増えてくる。合従連衡あり、思わぬ候補者の浮上ありと、高見の見物を決め込む分には、かなり楽しい展開になるかもしれない。

もちろん堪らないのは候補者だ。ただでさえ長い選挙戦が、一層神経質になる。本選挙との関係も微妙である。これまでならば春頃には各党の候補者が決まり、本選挙が事実上スタートした。しかも今回の場合には、党大会の開催が8月末から9月初めとなっており、あろうことか例年より遅い。予備選が泥沼の戦いになれば、本選挙への影響は避けられない。

見るほうにとっては楽しいが、候補者にとっては、なんとも過酷で残酷な戦いである。

0 件のコメント: