For the Record MI NV SC:Last Man Standing ?
他の仕事に忙殺されているうちに、予備選挙が立て続けに終わってしまった。とりあえず結果だけは記録しておこう。
民主党
①ミシガン(1月15日)
クリントン:55%
支持者なし:40%
②ネバダ(1月19日)
クリントン:51%
オバマ:45%
エドワーズ:4%
共和党
①ミシガン(1月15日)
ロムニー:39%
マケイン:30%
ハッカビー:16%
②ネバダ(1月19日)
ロムニー:51%
ポール:14%
マケイン:13%
ハッカビー:8%
トンプソン:8%
ジュリアーニ:4%
③サウスカロライナ(1月19日)
マケイン:33%
ハッカビー:30%
トンプソン:16%
ロムニー:15%
ジュリアーニ:2%
民主党側では、ヒラリーが調子を取り戻したようにみえる。他の有力候補者の名前が投票用紙に無かったミシガンはともかく、有力労組がオバマ支持に回ったネバダで勝ったのは大きい。いぜんとしてサウスカロライナではオバマにリードを許しているが、スーパーチューズデーに向かう体勢は悪くない。
入口調査からの気づきの点は2つ。まずミシガンでのヒラリー支持の絵柄である。ミシガンは民主党指導部の要請を跳ね除けて予備選日程を早めたため、多くの候補が正式に予備選に参加しなかった。それでも、「支持者なし」が40%となったのは、ヒラリーの上限がこの程度(55%)という解釈も可能だろう。当初からいわれていたことだが、ヒラリーはある程度固い支持がある一方で伸び代は少ない。自分がこの予備選をObama’s to loseと考える一因である。また、黒人の68%が「支持者なし」と投票しており、サウスカロライナでのヒラリーの苦戦を予想させる。
第2点は繰り返しになるが、ヒラリーの立ち直りとエドワーズの落ち込みの連関性である。ネバダは労組の力が強い。エドワーズはそこを頼みにしていたが、直前になって有力労組(Culinary Workers Union)がオバマ支持を打ち出した。蓋をあけてみると、労組票はクリントン45%、オバマ44%と割れ、エドワーズは7%に沈んだ。
共和党では、ロムニーとマケインが待望の勝利をあげた。ロムニーにとっては、ミシガンでの勝利が無ければ撤退もありえただけに、その意味では大きい勝利である。ただし、全国区でのストーリーは、間違いなくマケインの復活だろう。いまや全国調査でも、マケインは共和党のトップ候補である。
入口調査から見たマケイン復活の特徴は、党派を超えたアピールにある。逆にいえば、共和党ベースはマケインに対してまだ距離を置いている。共和党支持者の投票行動をみると、ニューハンプシャーでは、マケイン35%・ロムニー33%、ミシガンではロムニー41%・マケイン27%。一方の無党派層は、ニューハンプシャーではマケイン40%・ロムニー27%、ミシガンではマケイン35%・ロムニー29%である。また、マケインにとって特に大きな勝利となったサウスカロライナでは、投票者の80%を占める共和党支持者では、ハッカビー(32%)がマケイン(31%)を上回っている。投票者の18%である無党派層の42%がマケインに入れたことで、勝負が決まった格好だ(ハッカビーは25%)。
マケインにとって、無党派層にアピールできる点は、本選挙で勝てる可能性を高くする。ただでさえ、共和党予備選挙への参加者は伸び悩んでいる。マケインはサウスカロライナで勝ってはいるが、得票数は2000年に同州でブッシュに負けたときよりも少ない。今共和党に求められているのは、中道よりの共和党支持者や無党派層に働きかけられる力だという指摘もある(Seib, Gerald F., “GOP Can Revive Curbed Enthusiasm”, Wall Street Journal, January 22, 2008)。実際に、共和党予備選での復活と歩調を合わせるように、マケインはヒラリーとの仮想対決でも優位に立っている。
共和党は経済保守(ロムニー)、社会保守(ハッカビー)、外交保守(ジュリアーニ/マケイン)に分裂していると指摘される。外交保守ではジュリアーニが強かったが、ここにきてマケインに乗り換える向きが増えているという(Kamiya, Gary, “Dead party walking”, Salon, January 22, 2008)。これまでとは違い、今後の予備選挙では共和党支持者だけが投票できる州が少なくない(Dionne Jr., E. J., “Crunch Time for McCain”, Washington Post, January 22, 2008)。「勝ち馬」を探す方向で共和党がまとまれるかどうかが、マケインの予備選挙での戦いを左右することになりそうだ。
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