Don't Be Cruel, New Hampshire...
世論というのは酷なものだ。アイオワでの躓きは、既にニューハンプシャーに波及している。RealClearPoliticsによれば、ニューハンプシャーでヒラリーとロムニーの支持率が明らかに落ちている。民主党ではオバマ、共和党ではマケインがトップに立っている状況。いずれの候補も、強みにしようとしてきた「勝てる候補」というオーラが剥がれ落ちようとしているようだ。
ヒラリーの場合、CNNの調査では「最も勝てる候補」と見る割合が36%と前回調査から9ポイント低下、35ポイントのオバマにほとんど並ばれた。安定感・確かさといったヒラリーのイメージが揺らいでいる(Steinhauser, Paul, “Poll: Clinton, Obama tied in New Hampshire”, CNN, January 5, 2008)。オバマは、「経験のなさ」が弱点とされてきたが、アイオワでの勝利によって一つ壁を抜けたような感じがある。一時は「次の大統領は確実」とみられていたヒラリーを破ったのだから、不安だった有権者もオバマ支持に踏み切りやすくなったはずだ。92年にクリントンが躍進してComeback Kidの名前を獲得したニューハンプシャーは、ヒラリーにどんな結果をつきつけるのだろうか。
ヒラリー陣営には、仮にニューハンプシャーで負けたとしても、最終的にはスーパーチューズデーに勝負をかけるだけの体力はある。しかしComeback Ladyとなるためには、どこかで現在のストーリーラインを変えなければならない。言い換えれば、ニューハンプシャーで負けたとしても、反転攻勢の糸口がみつけられさえすれば、ヒラリーにとっても悪くない結果とみなければいけない。つまり、負け方が肝心なのだ。
共和党の状況は複雑だ。ニューハンプシャーは宗教色がそれほど強くない。組織・資金に劣るハッカビーが勢いを維持するのは簡単ではない。他方で、本来のトップランナーだったロムニーは、勝つべきアイオワでの敗北で大きく傷ついた。全国規模でリードしていたジュリアーニはフロリダ以降にかける戦略であり、存在感は薄い。その間隙を縫って浮上したのがマケインという展開である。ニューハンプシャーでロムニーが敗北すれば、指名争いから大きく後退するのは必然。共和党エスタブリッシュメントがマケインに回帰することになれば、なんとも皮肉な展開である。
興味深いのは、オバマとマケインはいずれも無党派層の支持が強いという事実だ。ブッシュ政権下で党派対立の度合いを強めた米国は、その振り子を一気に戻そうとしているようにも見える。仮に彼らが本選挙に進めば、同じ支持層を取り合う格好になる。そうなると、両者の意見が最も違う部分、すなわち、イラク戦争に論点が回帰する可能性も指摘できる。
しかし、ここに来ての状況の変化の速さは、眩暈を覚えるほどだ。これまで1年間の選挙戦は何だったのだろうとすら思ってしまう。
お楽しみはこれからである。
2 件のコメント:
いやあ、ホントにワクワクしますね。毎度のことながら、予備選挙は「スター誕生」を可能にする仕掛けではないかと思います。
不謹慎かもしれませんが、ようやく「平時の選挙」という感じで、明るさが差してきているように思います。現状への不満が強いのはわかるんですが、2004年のような暗さ・きつさがないような。もっと純粋にワクワクします。2004年は候補者がダークだったのかもしれませんが...2004年は戦争、2000年はフロリダ、1996年はモニカですから、やはり92年以来のワクワク感ですね。そこでヒラリーが勝つという絵柄は、やはり難しいのかもしれません。
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