オバマの税制改革案(補足)
更新できない日が続いて申し訳ありません。そうこうしているうちに、議会民主党はイラク戦争に関する投票にまたしても失敗し、GMはストに入ってしまいました。米国への赴任を挟んだ向こう1~2ヶ月は、イレギュラーな更新にならざるを得なさそうです。ご了承下さい。
本日は、純然たる備忘録。オバマの税制改革案の中で批判されている、クリントン政権の年金税制改革についてである。米国は、一定の課税所得以上の世帯に対して、公的年金給付金の一部を課税所得に加えるよう求めている。93年の改革以前の仕組みでは、課税所得が単身世帯で25000ドル、既婚世帯で32000ドルを超える場合に、年金給付金の50%か所得上限超過分の50%の低い方を課税所得に加えなければならなかった。93年の改革では、これに上乗せする形で、課税所得が単身世帯で34000ドル、既婚世帯で44000ドルを超える場合に、年金給付金の80%を課税所得に加えることとされた。この改革による税収増は5年間で250億ドル弱で、メディケアの財源に割り当てられている。
当時の増税は、一般に高額所得層増税だと論じられていた。しかし、いわれて見れば、年収3~4万ドルを高額所得層というのには無理があるかも知れない。その一方で、高齢化による財政事情の悪化が予想される中で、敢えてこの税目を持って来るオバマの考えも、今一つ理解しにくい。年金や医療保険財政に関する提案が目立たないだけに、なおさら「高齢者の味方」と「クリントン批判」を相乗りさせただけの、安易な提案にすら思えてしまう。
なお、以上の情報は議会税制合同委員会の当時の立法資料を参考にした。議会予算局と併せて、最近では随分昔の資料までもがネット上に公開されている。何とも便利な世の中になったものである。
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