有権者の本音はToo Much, Too Early?
大統領選挙がこんなに早くから盛り上がるとは、変化を求める米国民の思いは並大抵ではないと思っていた。しかしさすがの米国民も、さすがにこれはやり過ぎだと感じているようだ。
こうした現実が垣間見えた出来事が2つある。第一は、8月2日にピュー・リサーチセンターが発表した世論調査である。この調査では、選挙戦の現状をネガティブな言葉で表現する回答(52%)が、ポジティブな見方をする回答(19%)を大幅に上回った。ネガティブな表現のなかでもっとも多かったのは、「早すぎる」という回答。これに「混乱している」「長すぎる」「印象が薄い」「退屈」といった評価が続く。特にネガティブな回答が多いのは共和党支持者(61%)だが、無党派層でもその水準は55%に達している。それに比べれば、民主党支持者の39%はましな方だが、それでもポジティブな見方(27%)よりも多い。候補者に多大な関心を寄せているという割合も34%に止まっており、6月の33%からほとんど増えていない。共和党支持者に至っては、6月の33%から7月は30%へと減少してしまった。
二つ目の出来事は、8月7日に行われた民主党討論会のテレビ視聴者の少なさだ。今年の討論会は、選挙の前年にしては回数が多く、またテレビを通じた視聴者も高水準で推移していた。6月3日に行われた民主党の討論会は270万人の視聴者を集めているし、共和党でも5月15日の討論会は250万人が見ている。これまでの選挙前年の記録は1999年に共和党が記録した220万人だが、これは12月の開催である(Zenilman, Avi, "'08 debates come early and often", Politico, July 23, 2007)。それだけ今年は有権者の関心が高かったわけだが、AFL-CIOの主催で行われた8月7日の討論会については、蓋を開けてみればわずかに96万人の視聴者。これまでと比べて大幅に落ち込んだ。
こんなことで有権者の関心が持つのだろうかと思っていたら、とんでもないウルトラC(?)があった。投票日の方が近付いて来るかもしれないのだ(Shear, Michael D., "Primary Season Getting Earlier", Washington Post, August 9, 2007)。8月9日にサウス・カロライナ州は、予備選の投票日を2月2日から1月19日に早める意向を発表した。フロリダ(1月29日)に奪われた「南部最初の予備選」の座を取り戻すのが狙いである。そうなると「どこよりも先に予備選の投票を行なうこと」と州法に定めているニューハンプシャーの日程(現在は1月22日)が前にずれる可能性が出てくる。その次には「どこよりも先に予備選を行なう」という州法を持つアイオワの党員集会(同1月14日)がさらに前倒しになる。理論上は今年の12月中旬にも党員集会が開かれかねない勢いだ(Simon, Roger, "Race to be first unsettles campaign", Politico, August 9, 2007)。いくら間が持たないからといって、投票日の方から近づいてくるとは!
もちろん大きな問題はある。本選挙の投票日は動かないのだ。さっさと各党の候補者が決まるにせよ、党大会までもつれるにせよ、有権者が最後の審判を下せるのは来年の11月である。それまでには北京でオリンピックが開かれ、甲子園が3回終わってしまい、恐らく日本では衆議院選挙が済んでしまう。
いやはや、このページも少しペースを落とした方が良いのだろうか...
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