2007/10/09

オバマ経験不足論はブーマー世代の仕業?

経験の浅さという点では、候補者の間にそれほどの違いが見られないのに、なぜオバマの未熟さが争点になるのか。一つの鍵は、ベビーブーマーにあるのかもしれない。ボストン・グローブのエレン・グッドマンの指摘である(Goodman, Ellen, "Junior envy", Boston Globe, January 26, 2007)。

確かにオバマは相対的には若いが、一般的な社会常識でいえば、46歳は若者とは言い難い。むしろ、自分は若くないということを感じさせられる年頃である。モーツァルトは30台で死んでしまったし、アインシュタインは36歳で相対性理論を発表した。政治の世界においても、ルーズベルトは42歳で大統領になっており、オバマは史上最年少の大統領にはなり得ない。

むしろオバマの「若さ」がクローズアップされるのは、有権者が高齢化しているのではないか。なかでもブーマー世代の高齢化が、オバマにとっては逆風になっている可能性がある。1960年には米国の平均年齢は29歳だったが、現在は36歳である。そして発言力の大きいベビーブーマー世代は、60代に差し掛かっている。20歳代の頃は「30代以上は信用できない」としていたブーマー世代が、今や50代以下は信用できないと言い始めているのではないか。

ブーマー世代は、いつまでも若さを失わない世代といわれる。その副作用は、次の世代をいつまでも若輩もの扱いしがちで、「世代交代に後ろ向きなことにある。言い換えれば、物事を仕切るのは自分たちの世代だという自負がいまだに強いのが、ブーマー世代なのである。

クリントン以来、米国ではブーマー世代の大統領が16年続いている。ブーマー世代に属するのが18年であるから、そろそろ世代交代となってもおかしくはない。ブーマー世代の最後尾(もしくはジョーンズ世代)のオバマであれば、タイミング的には違和感がないという議論も可能だろう。しかし現実の選挙戦は、そのようには展開していない。いかに世代が松明を受け継いでいくかは、今後の米国政治の隠された論点なのかもしれない。

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